鹿追町の概要

鹿追町は北海道の屋根といわれる大雪山系と日高山脈を境として、太平洋に広がる十勝平野の北西部に位置しています。北緯43度00分30秒〜43度23分28秒、東経142度55分35秒〜143度09分06秒、東西17.7㎞、南北39.8㎞で、面積は404.69㎢です。日本最大の国立公園である「大雪山国立公園」の山麓にあるため標高は鹿追市街地で200m、瓜幕市街地で300mと高く、西上幌内地区では農耕地でありながら500mもの標高があります。このため、この地区で作られるそばは冷涼な気候が美味しいそばを育てていると言われています。

山々

本町の北部は大雪山系の諸山があり、昔アイヌの人たちが野っぱらに突起した山という意味で「ヌプカウシ・ヌプリ」と呼んでいた夫婦山(別名:坊主山)をはじめ、菅野温泉周辺の然別山、ピシカチナイ山などがあり、然別湖周辺には白雲山や天望山などがあって山容を湖上に映して大自然の造形と天然の美を誇っています。各山ともに原始を思わせる大木と熊笹や高山植物に覆われていますが、いずれも登山道があって山に親しみ山を愛するものを迎え入れています。「ヌプカウシ・ヌプリ」が坊主山と呼ばれるようになったゆえんは、本町に開拓の鍬が降ろされ立木を切り倒して燃やしたり、萩や熊笹を切り払って燃やし、また開墾期には野火を入れて耕地の牧草を焼き払っていましたが、このとき思わぬ山火事になってヌプカウシヌプリを舐め尽くし立木は枯れて丸坊主になってことに始まると言われています。また、夫婦山の名は、十勝毎日新聞社の初代社長林豊州が作詞した「十勝音頭」の中にある「夫婦ヌプリ」の一節から、近年になって観光用に「夫婦山」と呼ばれるようになったと言われていますが、野原に突起した山という形容といえ、坊主山・夫婦山のいずれも名称も、その容姿にふさわしく地域の人たちの親しみと思い出の山となっています。これらの山々の標高は次のとおりです。

河川

本町を流れる河川は然別湖からのトウマベツ川をはじめ、ウペペサンケ山に源を発するユーヤンベツ川などの諸川は然別川と合流して十勝川に包含されます。

然別川

上流の一部は然別湖を発して南西に下るトウマベツ川と合流してやや南下してオソウシ川と合して然別川と名を変えて、本町西部を緩く左に回って南下、ほぼ半円を描きながら諸支流を加えて十勝川に達します。開拓初期には奥地の国有林払い下げの材木運搬のため流送にも利用されましたが、ときには洪水を起こして水害を与えることもありました。本町の母なる川と親しまれている然別川の語源はアイヌ語で、自分を回す川・回っている<山田>、「シリ・カリ・ペツ」川の中で水の回流する川<知里>とあり、「シカリ・ペツ」奥無し川<永田>については意義不明とされています。

シイシカリベツ川

ウペペサンケの東側に発するユーヤンベツ川と同山西方の上然別山の合間に源を発するシイカリベツが合流する地点からウバシナイ川。ヌプリパクショベツ川が合流して然別川に至る間を言います。この川の上流には至る所に温泉の自然湧出があり、また水銀の鉱脈があって戦中戦後にかけて採掘されましたが現在は廃坑になっています。「シイシカリベツ」の語源は「本当の然別川」。松浦武四郎図にはシノマンシカリベツと記され、「本当に奥に行っている」と訳されている。ユーヤンベツ川=お湯ののぼる川、温泉陸に上がる川。ウバシナイ川=雪の下の川。ヌプリパクショベツ川・山の上手・通っている川。

ウリマク川

源を「熊の沢」に発し陸上自衛隊演習場を南下しながら左右の小川を吸収して北鹿追・北柏を経て音更町村山で然別川に合流します。かつてはウリマク川を挟んで東方をペンケチン原野、西をビバウシ原野と呼んでいました。このウリマク川上流に小室綿羊牧場があり、熊の沢下流地域を「羊ヶ丘」と呼んでいましたが、現在は演習地となっています。水源地の水質は極めて良質で戦中戦後には多くの澱粉工場を操業し、現在は鹿追町の上水道の貯水池となっています。ウリマク川の語源は、その丘・後ろの方の川、その向こう側の川。

トウマベツ川

地図によってはトマムペツあるいはトーマペツとあるが語源ではトー・オマ・ペツで、湖に入っていく川と言われています。湖に入っていく川といえば、その川下に湖か沼があって流入するものと理解するが、アイヌの人たちは「川はのぼるもの」と考えて、川下すなわち河口を「川尻」と呼び水源地を「頭」と呼び、したがってトウマベツ川は然別湖にのぼる、または入っていく川と呼ばれていました。

パンケチン川及びペンケチン川

パンケ、ペンケと名付けられた河川、湖沼は道内各地にありますが「パンケ」は下方を示し「ペンケ」は上の意味をあらわしています。また「チン」は獣皮のことで上のあるいは下の獣皮を乾かすところの意味であったようです。パンケチン川は東ヌプカウシヌプリの中腹寄りに源を発し、自衛隊演習場を南下して本町と士幌町との境界をなしています。パンケチン、ペンケチンのいずれの河川も十勝種畜牧場を経て東士狩で然別川に合流しています。

オソウシュ川

瓜幕国有林一一四・一五林班に源を発し自然ランド付近で然別川に合流しています。自然ランド付近は、戦後開拓者が入植して営農したが全員離農しました。昭和52年に北瓜幕と改称され第二次林業構造改善事業で「自然ランド」が開設されました。また、本町で最後のアイヌ民族が昭和41年まで居住したところで、語源は「川尻に滝がついている川」と言われ、自然ランド内に「洞門の滝」があります。

チンネル川

本町に接する清水町、芽室町との町界にあり南下してハギノ川に合流。音更町下然別付近で然別川に注ぎ十勝川に至っています。

ハギノ川

上幌内に源を発し美蔓及び上然別高台地帯を通過して、途中チンネル川を吸収して然別川に達します。

クテクウシ川

笹川に自然湧水の源を持ち、鹿追市街地を通過して基井川と合流。下鹿追(鹿追橋上流)で然別川に注ぎます。近年になって土地改良が進むと、水量が減ると同時に水質汚濁が激しく、かつてのようにカジカやうぐい、ヤマベなどは完全に姿を消してしまいました。

パンケビバウシ川及びペンケビバウシ川

ペンケビバウシ川はウリマク25号・26号付近に源を発し、北鹿追・中鹿追を通過して池戸川などと合流して南柏と本町の町界付近で然別川に注ぎます。また、パンケビバウシ川は中鹿追から発して然別川に合流しています。ビバウシの語源カラス貝の多くいる所の意と言われています。

ヤンベツ川

ウペペサンケ山中腹に源を発し、石山及び遠望山と上士幌町に属する温泉山(1280.9m)の谷間を縫って迂回しながら然別湖北側に注ぎます。然別湖に生息するミヤベイワナ(オショロコマ)が産卵期になると、群れになって遡上する魚影が見られましたが、近年になって魚数の減少からあまり見られなくなりました。ヤンベツ河口には温泉があり、またミヤベイワナ(オショロコマ)孵化場を設けて増殖を図っています。

湖沼

鹿追町には大小3つの湖及び沼があります。なかでも然別湖は神秘な湖として、全国的にも有名な観光資源となっています。然別湖は鹿追町と上士幌町にまたがる湖で周囲13.8km、水深は最も深いところで99m、面積が3.4キロ平方メートルの湖です。標高は810mの高所にあって、北からヤンベツ川が流入して、南のトーマベツ川を経て然別川に注ぎます。湖の成因は、溶岩円頂丘による堰止湖という説と陥没や沈降のあと、カルデラ陥没壁に沿って円頂丘郡が噴出して不規則な湖になったとする説があります。西岸には温泉が噴出して古くから温泉宿が営業されています。この他に扇が原から然別湖に向かって下り坂になった地点に駒止湖があって、西小沼または小沼と呼ばれる小さな沼があります。かつてはアイヌ語で「オッチシトー」と呼び、これを「女のすすり泣くような沼」と訳されていました。然別湖のやや東方に東雲湖があり、東小沼ともいわれるが、この小さな沼には、サンショウウオのほか魚介類の生息はなく、流水、流出の河川がないのが特徴とされ観光客の散策コースになっています。

気候

大雪山系の山麓地帯に位置し、上幌内北部や東西ヌプカウシ山の山麓地帯を除いて大部分は内陸性気候です。年間を通じて最も寒いのは1月から2月にかけてで、氷点下13℃前後です。年によっては氷点下20℃以下も記録します。3月から次第に暖かくなり4月上旬には融雪して農耕期に入ります。六月になって遅霜の被害を受けたり低温が続く年もありますが、概して5月には晴天に恵まれる年が多くあります。6月の平均気温は15℃前後。気温の最も高い季節は7月下旬から8月上旬で平均22〜25℃くらいですが、年によっては35℃を超える猛暑となることもあります。日中は暑くても夜は涼しくなることが多いので、旅行の時には1枚羽織るものがあると良いでしょう。初霜は10月上旬が最も多く、初雪はおおむね立秋を前後して1週間に降っています。紅葉が美しくなる10月には平均気温が10℃以下になり冷え込みが厳しくなります。降雪量は近年減少傾向にありますが、昭和45年には一晩で60cmを超える降雪があったこともあります。ここ数年の平均的な積雪量はシーズンを通じて60cm前後です。

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大雪山国立公園

大雪山国立公園は北海道の中央部に位置し、陸域では日本最大の国立公園です。北海道の最高峰「旭岳」を主峰とする大雪山連峰を中心として面積は約23万haあり、現在も活動を続ける火山をを含んだ山岳を中心とした原始性豊かな国立公園です。トムラウシ山から十勝岳連峰、あるいはニペソツ山・ウペペサンケ山、石狩連峰や然別湖をいだく然別火山群などを含んだ地域、すなわち北海道の屋根と呼ばれる一体が大雪山国立公園に指定されています。これらの山岳は、2,000m前後の高さですが緯度が高いため本州の3,000m級の山岳に匹敵する高山環境を持ち、山の広がりは実に雄大です。山頂部では、真夏でも大きな雪渓・雪田が残り、豊富な高山植物がいたる所に華麗なお花畑を作り出しています。山麓部にはエゾマツ、トドマツを主体とした亜寒帯の針葉樹林が広がり、その見事な森林景観はこの地域の原始性に欠くことの出来ない要素になっています。豊かな森林、高山植物の大群落、あるいは極地にも似た冬期間の厳しい寒気など、自然環境の多様な地域は、氷河期の生き残りといわれエゾナキウサギやウスバキチョウ・アサヒヒョウモンなど、この地域特有の高山蝶、あるいはヒグマ、エゾシカなどの大型哺乳類、クマゲラ、シマフクロウなどの希少な鳥類の生息地となっています。山麓には豊富な温泉が湧き出ていて、層雲峡、勇駒別、天人峡、ぬかびら源泉郷、白金、然別湖、トムラウシなど各地の温泉は大雪山国立公園探勝の絶好の根拠地となっています。

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